【配当金を育てる実践シリーズ 第8回】NISAで配当収入を育てるには?非課税メリットを活かす方法

FIRE・資産形成

配当金を育てていくうえで、ぜひ活用を考えたい制度の一つが新NISAです。

NISAの魅力は、投資によって得られた利益が一定の条件で非課税になること。

これは、配当投資とも相性のよい仕組みです。

例えば、年間10万円の配当を受け取る場合。

通常の課税口座では税金が差し引かれますが、NISA口座で非課税の条件を満たしていれば、10万円をそのまま受け取れます。

最初は小さな差に感じるかもしれません。

でも、配当金が年間30万円、60万円、100万円と育っていけば、その差も大きくなります。

さらに、税金がかからなかった分を再投資すれば、将来の配当収入を増やす力にもなります。

今回は、新NISAの制度そのものではなく、NISAを使うことで配当収入がどのように変わるのかを考えてみたいと思います。


1.配当金には通常約20%の税金がかかる

まず、税金による違いを確認してみましょう。

日本の上場株式から受け取る配当金には、通常20.315%の税金がかかります。

内訳は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%です。

例えば、年間配当が10万円なら、税引後の受取額は約7万9,685円です。

つまり、約2万円が税金として差し引かれます。

一方、NISA口座で非課税の条件を満たして受け取る場合、日本国内でこの税金はかかりません。

年間配当10万円なら、10万円をそのまま受け取れます。

同じ企業に投資していても、どの口座で保有しているかによって、手元に残る配当金が変わるわけです。

2.年間配当が増えるほど、非課税メリットも大きくなる

では、配当金が増えると、その差はどれくらいになるのでしょうか。

年間配当(税引前)課税口座の手取りNISAの手取り差額
12万円約9.6万円12万円約2.4万円
36万円約28.7万円36万円約7.3万円
60万円約47.8万円60万円約12.2万円
120万円約95.6万円120万円約24.4万円
240万円約191.2万円240万円約48.8万円

※日本の上場株式の配当を想定した税率20.315%による概算です。NISAの列は対象配当がすべて非課税になると仮定した比較であり、実際に全額をNISAで保有できることを意味しません。

年間配当60万円なら、差額は約12万円。

年間120万円なら、約24万円です。

これは決して小さな金額ではありません。

ただし、ここで注意したいのは、新NISAには投資可能な金額の上限があることです。

年間配当120万円をすべてNISAで受け取れるとは限りません。

この表は、あくまで非課税になることの効果を比較したものです。

実際には、NISA口座と課税口座を組み合わせながら配当収入を育てていくことになります。


3.新NISAでは配当投資にどれくらい使える?

新NISAの基本的な枠組みを簡単に確認しておきます。

項目金額
つみたて投資枠年間120万円
成長投資枠年間240万円
年間投資枠の合計360万円
非課税保有限度額1,800万円
うち成長投資枠の上限1,200万円

個別株を購入できるのは、基本的に成長投資枠です。

そのため、個別の高配当株を中心に配当収入を育てたい場合は、成長投資枠の活用が重要になります。

例えば、成長投資枠で1,200万円分の高配当株を保有していたとします。

平均配当利回りが4%なら、年間配当は48万円です。

通常の課税口座であれば、税引後は約38.2万円。

NISAで国内配当が非課税になれば、48万円を受け取れます。

差額は年間約9.8万円です。

もちろん、配当利回りは一定ではありませんし、減配することもあります。

それでも、非課税で受け取れることが長期の配当投資にとって魅力的なのは確かです。

なお、成長投資枠でも対象となるETFや投資信託を購入でき、つみたて投資枠では対象の投資信託・ETFを通じた資産形成ができます。


4.非課税になったお金を再投資するとどうなる?

ここからが、配当金を育てるという視点で重要なところです。

NISAのメリットは、単に税金がかからないことだけではありません。

税金として差し引かれなかったお金を、次の投資へ回せることにもあります。

例えば、年間48万円の配当を受け取る場合。

課税口座の手取りは約38.2万円。

NISAなら48万円です。

差額は約9.8万円。

この9.8万円を配当利回り4%の資産へ再投資できれば、単純計算で年間約3,900円の新しい配当を生み出します。

それほど大きな金額には見えないかもしれません。

でも、翌年も同じように非課税メリットが生まれ、そのお金を再投資する。

さらに、その投資からも配当が生まれる。

こうした積み重ねによって、長期では差が広がる可能性があります。

ただし、再投資する際にはNISAの投資枠が必要です。枠が残っていなければ、課税口座で再投資するなどの対応になります。

NISAだから無制限に非課税で再投資できるわけではないことは押さえておきたいところです。


5.10年・20年ではどれくらい違う?

長期での違いを、簡単なシミュレーションで見てみましょう。

例えば、1,000万円を投資し、年間4%の配当が得られると仮定します。

配当は毎年すべて再投資し、追加投資はしません。

配当利回りと再投資時の価格が一定で、売買コストもないとする単純化した計算です。

経過年数NISA・非課税で再投資課税口座・税引後で再投資
開始時1,000万円1,000万円
5年後約1,217万円約1,173万円
10年後約1,480万円約1,369万円
20年後約2,191万円約1,873万円

※NISA側は全期間・全額が非課税で再投資できると仮定した理論比較です。実際の新NISAには投資枠の上限があり、この表どおりの運用ができるとは限りません。

20年後には、約318万円の差になります。

これは、税金として差し引かれなかったお金も再投資し、そのお金がさらに収益を生むという仕組みによるものです。

ただし、現実には株価も配当額も変わります。

この数字を将来の予測として受け取るのではなく、非課税の効果は長い時間を通じて積み重なるというイメージとして見ていただければと思います。


6.NISAでは高配当株を優先して買うべき?

ここで考えたいのが、NISA枠の使い方です。

配当金が非課税になるのであれば、配当利回りの高い株を優先して購入した方がよいのでしょうか。

確かに、利回りが高ければ、非課税になる配当額も大きくなります。

例えば、100万円を投資する場合。

利回り3%なら年間配当3万円。

利回り5%なら年間配当5万円です。

税金面だけを見れば、5%の方が非課税メリットは大きくなります。

ただし、だからといって5%の株が必ず優れているわけではありません。

高利回りの背景に業績悪化や減配リスクがあるかもしれません。

また、NISAでは売却損が出ても、課税口座の利益との損益通算や損失の繰越控除はできません。

そのため、私はNISAだからこそ、長期保有に納得できる企業を選ぶことが大切だと考えています。

現在の利回りだけではなく、事業の競争力、財務、利益成長、配当方針なども見ながら判断したいところです。


7.増配株もNISAと相性がよい

NISAで配当収入を育てるなら、増配にも注目したいところです。

例えば、現在の配当利回りが3%の企業でも、長期的に利益を伸ばし、配当を増やしていけば、購入時の投資額に対する年間配当は増えていきます。

100万円で購入した株から年間3万円の配当を受け取っていたものが、将来的に4万円、5万円となる可能性もあります。

その増えた配当も、国内で非課税の条件を満たしていれば、税金を差し引かれずに受け取れます。

もちろん、増配が続く保証はありません。

それでも、長期的な配当成長が期待できる企業をNISAで保有することには意味があります。

「今の利回りが高い企業」だけではなく、「将来の配当を育てられる企業」も候補にする。

この視点は、これまでの高配当株・個別株実践編とも共通しています。


8.NISA枠を無理に使い切らない

NISAには年間投資枠があります。

そのため、年末が近づくと、

「残っている枠を使わなければ」

と感じることもあるかもしれません。

でも、NISAの枠を使い切ること自体が目的ではありません。

魅力的な投資先が見つからない。

株価が自分の想定より高い。

生活資金を優先したい。

そんな場合には、無理に投資する必要はないと思います。

非課税メリットを得るために、本来なら買わない銘柄を購入する。

これでは順番が逆になってしまいます。

まずは、自分が長期保有したい資産を選ぶ。

そのうえで、NISAを活用できるなら活用する。

投資判断が先、非課税メリットはその次。

この順番を大切にしたいところです。


9.配当金を非課税で受け取るための注意点

NISAで日本の上場株式の配当金を非課税で受け取るには、配当金の受取方式にも注意が必要です。

基本的には、証券会社の口座で配当金を受け取る**「株式数比例配分方式」**を選択する必要があります。

銀行口座で受け取る方式などでは、NISA口座で保有している株式でも配当金に課税される場合があります。

また、米国株などの外国株式や海外ETFでは、NISAを利用しても外国で源泉徴収される税金が残る場合があります。

海外投資では、国内の非課税と外国の税金を分けて考える必要があります。

制度の詳細は、利用している証券会社や金融庁などの公式情報で確認しておきたいところです。


10.NISAと課税口座をどう使い分ける?

配当投資を長く続けていくと、NISA枠だけでは足りなくなることもあります。

その場合、NISA口座と課税口座を組み合わせることになります。

例えば、NISAでは長期保有を前提とする企業やETFを中心にする。

課税口座では、NISA枠に入りきらない銘柄や、状況によって売却する可能性がある銘柄を保有する。

こうした使い分けも考えられます。

ただし、必ずしもNISAは高配当株、課税口座はそれ以外、と決める必要はありません。

投資信託を中心に資産形成を進めたい方もいます。

成長性を重視する方もいます。

配当収入を重視する方もいます。

それぞれの目的に応じて、非課税枠の使い方は変わります。

大切なのは、NISA口座だけを見るのではなく、資産全体の中でNISAにどんな役割を持たせるかを考えることです。


11.非課税で受け取った配当を「使う」という選択

ここまでは、配当再投資によって資産を育てることを中心に考えてきました。

でも、NISAのメリットは再投資だけではありません。

配当金を生活に使う場合にも、非課税で受け取れることには意味があります。

例えば、年間48万円の配当があるとします。

課税口座なら、手取りは約38万円。

NISAなら、条件を満たせば48万円です。

その差は約10万円。

年間10万円あれば、旅行や趣味、家族との時間など、さまざまなことに使えます。

資産形成期には、非課税になったお金を再投資する。

資産活用期には、非課税で受け取った配当を生活に使う。

同じNISAでも、ライフステージによって活かし方は変わります。


まとめ:NISAは配当金を育てるための有力な選択肢

配当金を育てるうえで、NISAの非課税メリットは魅力的です。

年間配当が小さいうちは、税金の差もそれほど大きく感じないかもしれません。

でも、配当収入が増えるにつれて、その差は大きくなります。

さらに、税金として差し引かれなかったお金を再投資すれば、将来の配当収入を増やす力にもなります。

ただし、忘れたくないのは、NISAはあくまで投資を支援する制度だということです。

NISAだから高利回り株を買う。

枠が残っているから投資する。

非課税だから売却しない。

そうした判断ではなく、まず自分の投資目的を考える。

長く保有したい企業や資産を選ぶ。

そして、その投資にNISAを活用する。

私は、この順番が大切だと思います。

配当金を育てる力は、追加投資、再投資、増配、そして時間によって生まれます。

NISAは、その成長を税金面から後押ししてくれる仕組みです。

税金を減らすことを目的にするのではなく、育てた配当収入を、できるだけ自分の人生に活かすために使う。

そんな考え方で、NISAと付き合っていければよいのではないでしょうか。

タイトルとURLをコピーしました