毎月、配当金が入ってきたら。
そんな仕組みを作ってみたいと考える方もいるのではないでしょうか。
1月に配当。
2月にも配当。
3月にも配当。
そして12月まで、毎月何かしらの配当金が入ってくる。
給与とは別に定期的な入金があれば、投資を続ける楽しみにもなりますし、将来的に配当を生活費として使うのであれば、毎月受け取れる方が便利にも感じます。
では、
毎月配当金を受け取るポートフォリオは作れるのでしょうか?
結論から言えば、複数の株式やETFなどを組み合わせれば、毎月何らかの配当・分配金を受け取る形を作ることは可能です。
ただし、
「毎月受け取ること」
を優先しすぎると、投資先選びが歪んでしまうこともあります。
今回は、配当金を「年間いくら」という視点だけではなく、
「いつ受け取るか」というキャッシュフローの視点
から考えてみたいと思います。
配当金は毎月もらえるとは限らない
まず知っておきたいのは、
株式の配当金は、給与のように毎月支払われるものではないということです。
日本企業の場合、年1回または年2回の配当を実施する企業が多くあります。
そのため、一社だけを保有していて、
1月から12月まで毎月配当金を受け取るという形には通常なりません。
例えば、年間12万円の配当金を受け取っていたとしても、
毎月1万円ずつ入金されるとは限りません。
ある月に5万円。
別の月に7万円。
それ以外の月は0円。
ということもあります。
これまでこのシリーズでは、
「配当金月5万円」
「配当金月10万円」
といった表現を使ってきました。
これも、
年間配当を12か月で割った月平均
として考えています。
月10万円なら年間120万円ですが、実際の入金額が毎月10万円になるという意味ではありません。
それでも「毎月配当」に魅力を感じる理由
では、なぜ毎月配当金を受け取る仕組みに魅力を感じるのでしょうか。
一つは、
収入として実感しやすいこと
だと思います。
年間60万円の配当がある。
と言われるより、
毎月5万円程度の収入がある。
と考えた方が、生活とのつながりをイメージしやすくなります。
また、
配当を生活費として使うようになれば、入金時期も重要になります。
家賃や住宅ローン。
食費。
水道光熱費。
通信費。
こうした支出は毎月発生します。
一方、配当金が年に数回しか入ってこなければ、受け取ったお金を自分で管理しながら、毎月の生活費へ振り分ける必要があります。
その意味では、
配当月をある程度分散することにもメリットがあります。
毎月配当を作る方法① 配当月の違う株式を組み合わせる
一つ目の方法は、
配当時期の異なる企業を組み合わせること
です。
企業によって決算月は異なります。
そのため、権利確定月や実際に配当金が支払われる時期も異なります。
例えば、
春頃に配当を受け取る企業。
夏頃に受け取る企業。
秋頃に受け取る企業。
冬頃に受け取る企業。
というように組み合わせれば、入金時期を分散できます。
複数の企業を保有することで、
年間を通じて配当を受け取る月を増やしていくことは可能です。
ただし、
ここで一つ注意したいことがあります。
配当月だけを理由に企業を選ばないことです。
「2月の配当がないから、この会社を買おう」
という選び方をしてしまうと、
本来なら投資したくない企業までポートフォリオに入ってしまう可能性があります。
毎月配当を作る方法② ETFを組み合わせる
もう一つ考えられるのが、
ETFの活用です。
ETFには、年に複数回分配金を支払うものがあります。
国内ETFだけではなく海外ETFまで含めれば、分配時期にもさまざまなパターンがあります。
そのため、
株式とETFを組み合わせたり、
分配時期の異なるETFを組み合わせたりすることで、
キャッシュフローを分散させることもできます。
ただし、ここでも考え方は同じです。
「毎月分配金が欲しいからETFを買う」のではなく、そのETF自体が自分の資産形成に必要かどうかを先に考える。
この順番は大切にしたいところです。
ETFの特徴や投資信託との違いについては、これまでのETFシリーズでも詳しく考えてきました。
毎月配当を作るためだけに新しい商品を増やすのではなく、ポートフォリオ全体の役割から判断したいと思います。
「毎月配当」と「毎月分配」は同じではない
ここで、言葉についても整理しておきましょう。
個別株から受け取るものは、
一般的に「配当金」。
ETFや投資信託から受け取るものは、
「分配金」と呼ばれます。
毎月何らかの入金を作るという意味では似ていますが、仕組みは同じではありません。
特に投資信託では、
「毎月分配型だから安心」
「毎月お金が入ってくるから儲かっている」
とは限りません。
分配金がどこから支払われているのか。
分配によって資産の成長が妨げられていないか。
商品そのものの中身を見る必要があります。
「毎月お金が入ってくる」という見た目だけで商品を選ばない。
これは、配当・分配金を活用するうえで覚えておきたいポイントです。
本当に重要なのは「年間いくら受け取れるか」
例えば、
Aさんは年間120万円の配当を受け取っています。
ただし、
入金は特定の月に偏っています。
一方、
Bさんは毎月配当金を受け取っています。
でも、
年間配当は60万円です。
どちらが優れているでしょうか。
これは、
単純には比較できません。
配当収入を育てるという意味では、
「毎月入ってくるか」より、
年間でどれだけ安定した配当を受け取れるか
の方が重要です。
月ごとの入金をきれいにそろえるために、
配当利回りが高すぎる企業や、
自分がよく理解していない企業を買う。
これでは、本来の目的から離れてしまいます。
「毎月配当」を目標にすると起こりやすいこと
例えば、
現在のポートフォリオでは、
1月と7月に配当金がありません。
そこで、
「1月に配当を受け取れる株」
「7月に配当を受け取れる株」
という条件から銘柄を探したとします。
すると、
銘柄選びの最初の条件が、
企業の競争力でも、
業績でも、
配当の持続性でもなく、
配当月
になってしまいます。
もちろん、その中に魅力的な企業があれば問題ありません。
でも、
配当月を埋めるためだけに銘柄を追加する必要はないと思います。
長期で保有するのであれば、
「何月に配当をもらえるか」より、
「10年後もこの会社を保有したいか」
という問いの方が重要です。
私も以前、配当月を見て、
その中から有力な銘柄選びというのをしたことがありますが、
基準がごちゃごちゃになるので、
後から見ると何で買ったかわからなくなり、
結果的にやめました。。。汗
配当月は「銘柄選びの条件」ではなく「最後の調整」にする
では、配当月はまったく気にしなくてよいのでしょうか。
そういうわけでもありません。
私なら、
銘柄選びの優先順位を分けて考えます。
まず、
事業内容。
競争力。
業績。
財務。
配当方針。
増配余力。
現在の株価。
こうした点から、
長期保有したい企業を選ぶ。
そのうえで、
同じくらい魅力的な候補が複数あるなら、
「こちらを買うと配当月も分散できる」
と考える。
つまり、
配当月は、
最初の選定条件ではなく、最後の調整材料
くらいに考えるのがよいと思います。
年間配当120万円なら「毎月10万円」に自分で変えることもできる
ここで、少し発想を変えてみましょう。
年間120万円の配当収入があるとします。
でも、
入金時期は偏っています。
それなら、
受け取った配当金をいったん現金として管理し、
そこから毎月10万円ずつ生活費へ回す方法もあります。
つまり、
企業から毎月10万円を受け取らなくても、
自分で年間120万円を12分割すればいい
わけです。
例えば、
配当金専用の口座や管理枠を作る。
そこに受け取った配当金を集める。
そして、
毎月一定額を生活費口座へ移す。
こうすれば、
実際の配当月が偏っていても、
自分の生活上は「毎月配当」のようなキャッシュフローを作ることができます。
資産形成期なら、そもそも毎月受け取る必要性は低い
さらに、
まだ配当金を生活費として使わず、
再投資している段階なら、
入金月をそろえる必要性はそれほど高くありません。
3月に受け取って再投資する。
6月にも受け取って再投資する。
12月にも受け取って再投資する。
これでも、
長期の資産形成という目的は達成できます。
むしろ、
毎月配当を作ることにこだわって投資先を増やすより、
自分が納得できる企業やETFへ投資すること
を優先した方がよい場合もあります。
毎月配当が特に意味を持つのは、
配当金を「育てる段階」より、
「使う段階」に近づいてからなのかもしれません。
資産活用期になると「入金時期」の意味が大きくなる
一方、
退職後やセミリタイア後など、
配当金を生活費として使うようになれば、
キャッシュフロー管理は重要になります。
年間240万円の配当があっても、
入金が一部の月に集中していれば、
そのお金を計画的に使う必要があります。
そこで、
配当月をある程度分散する。
あるいは、
一定額の現金を確保しておき、
配当金を毎月の生活費へ振り分ける。
こうした仕組みを作っておけば、
配当の入金時期に生活を左右されにくくなります。
第5回で考えた、
「資産形成期」から「資産活用期」へ
という変化の中で、
配当月を考える意味も変わってくるわけです。
自分の「配当カレンダー」を作ってみよう
毎月配当を目指すかどうかにかかわらず、
一度作ってみると面白いのが、
配当カレンダー
です。
例えば、
| 月 | 受取予定配当 |
|---|---|
| 1月 | 1万円 |
| 2月 | 0円 |
| 3月 | 3万円 |
| 4月 | 1万円 |
| 5月 | 2万円 |
| 6月 | 15万円 |
| 7月 | 0円 |
| 8月 | 2万円 |
| 9月 | 3万円 |
| 10月 | 1万円 |
| 11月 | 2万円 |
| 12月 | 20万円 |
というように、
自分の配当金がいつ入ってくるのかを整理します。
実際の入金時期は企業によって異なるため、あくまで管理用のイメージです。
でも、
こうして並べることで、
年間配当額だけでは見えなかった、
配当収入の偏り
が見えるようになります。
配当カレンダーで確認したい3つのこと
配当カレンダーを作ったら、
次の3つを見てみます。
①年間配当はいくらか
まず重要なのは、
年間で受け取れる配当金です。
月ごとの金額より、
最初はこちらを優先します。
②特定の企業に依存していないか
ある月だけ配当が非常に大きい場合、
一社や一業種への依存が隠れていることがあります。
配当月だけではなく、
「誰から受け取っているか」も確認します。
③生活費として使いやすいか
将来的に配当を使う予定なら、
入金時期と生活費との関係も見ます。
必要であれば、
配当月の分散や現金管理を考えます。
この3つを見るだけでも、
配当収入を「年間○万円」という数字だけではなく、
キャッシュフローとして捉えやすくなります。
理想は「毎月同額」ではなく「年間を通じて安定」
毎月、
きれいに5万円ずつ。
あるいは、
毎月10万円ずつ。
そんな配当ポートフォリオは、
確かに分かりやすく魅力的です。
でも、
そこまできれいにそろえる必要はありません。
1月は2万円。
2月は0円。
3月は8万円。
それでも、
年間を通じて必要な配当収入があり、
自分でキャッシュフローを管理できるなら、
大きな問題ではありません。
配当投資で目指したいのは、
カレンダーをきれいに埋めることではなく、
長期的に安定したキャッシュフローを育てること
だと思います。
まとめ:毎月配当は「目的」ではなく「使いやすくする工夫」
毎月配当金を受け取る仕組みは、
株式やETFなどを組み合わせることで作ることができます。
毎月何かしらの入金があれば、
投資を続ける楽しみにもなります。
将来的に配当を生活費として使うなら、
キャッシュフローを管理しやすくなるメリットもあります。
でも、
毎月配当を作るために、
本来なら買わない企業を買う。
高い利回りだけを求める。
必要のないETFを追加する。
そこまでする必要はありません。
まず考えたいのは、
年間でどれくらいの配当収入を、安定して受け取れるか。
そして、
その配当を長く維持できるポートフォリオになっているか。
そのうえで、
配当月も分散できれば、
より使いやすいキャッシュフローになります。
また、
配当月が偏っていたとしても、
受け取った年間配当を自分で12分割すれば、
毎月一定額を使うこともできます。
つまり、
「企業から毎月配当をもらうこと」と、
「配当収入を毎月使えること」は、
必ずしも同じではありません。
配当月は、
銘柄を選ぶ一番の理由ではなく、
育てた配当収入を、自分の暮らしに合わせて使いやすくするための調整材料。
そのくらいの距離感で考えると、
毎月配当にこだわりすぎず、
自分に合ったポートフォリオを作りやすくなるのではないでしょうか。
