はじめに
「投資スタイル比較シリーズ」第3回は、不動産投資です。
第1回では高配当株投資、第2回ではインデックス投資を取り上げましたが、今回は「賃貸物件を買って運営するオーナー型の不動産投資」に焦点を当て、株式の配当利回りと比べながらFIREとの相性を考えていきます。
不動産投資の魅力
賃貸物件を購入してオーナーになる場合、入居者がいれば毎月の家賃収入が得られます。これが不動産投資の最大の魅力であり、FIRE後の生活費を支える「定期収入」に直結します。
一般的に、不動産投資の表面利回りは4〜6%前後と言われます。ローン返済や修繕費などを差し引いた実質利回りはもう少し低くなりますが、それでも安定的な収益源として魅力的です。
株式投資の配当利回りと比較
一方、株式投資の配当利回りは、日本株全体の平均でおおむね2%前後、高配当株に絞っても3〜4%程度が一般的です。
もちろん株価の値上がり益も期待できますが、配当収入という意味では不動産投資のほうが利回りは高めに出やすい傾向があります。
不動産投資の注意点
ただし、不動産投資は「利回りが高いから株式より有利」と単純に言えるものではありません。
- 空室リスク:入居者がいなければ利回りはゼロ
- 維持コスト:固定資産税・管理費・修繕費が必ずかかる
- 流動性の低さ:すぐに売却できず資金化が難しい
- 経営的要素:管理会社選びや修繕判断など、オーナー業務の側面がある
つまり、利回りだけ見れば株式より高い可能性がありますが、その裏に「手間・リスク・資金拘束」がつきまとう点が特徴です。
FIREとの相性
FIREを考えると、不動産投資は「生活費を安定的にまかなう手段」として相性は悪くありません。
- 毎月の家賃収入は生活費の柱になりやすい
- インフレ局面では資産価値や家賃が上がる可能性もある
- ただし、FIRE後もオーナー業務をある程度続ける必要がある
一方で、株式の配当は管理不要で完全に「ほったらかし」で受け取れるという違いがあります。
そのため、FIREを目指すなら「不動産の安定収入+株式配当の手軽さ」を組み合わせることで、バランスの取れたポートフォリオを作るのが現実的でしょう。
まとめ
不動産投資は、賃貸物件のオーナー利回りで見れば株式の配当利回りよりも高めに出やすく、FIRE後の安定収入源として魅力的です。
ただし、空室リスクや維持コスト、オーナー業務の負担を考えると「完全な不労所得」とは言えません。
FIRE戦略としては、不動産投資を「生活費の柱」、株式を「流動性と分散の柱」と位置づけ、組み合わせていくのが現実的な道筋となるでしょう。
次回は「個別株 vs ETF vs 投資信託」をテーマに、それぞれの特徴とFIREに向いた活用法を比較していきます。

