高配当株投資を続けていると、
少しずつ保有銘柄が増えていきます。
最初は3銘柄。
次は5銘柄。
さらに10銘柄。
そこで気になってくるのが、
「高配当株は何銘柄くらい持てばいいのだろう?」
ということです。
5銘柄では少ない?
10銘柄あれば十分?
20銘柄くらい必要?
30銘柄以上に分散した方が安全?
いろいろな考え方があります。
ただ、
私は銘柄数だけを決めても、
十分ではないと思っています。
例えば、
10銘柄持っていたとしても、
そのうち8銘柄が同じ業種だったらどうでしょうか。
あるいは、
20銘柄持っているけれど、
投資金額の40%が1銘柄に集中していたらどうでしょうか。
銘柄数だけを見れば分散しているようでも、
実際には大きな偏りがあるかもしれません。
そこで今回は、
高配当株を何銘柄持つかだけではなく、
「どのように組み合わせれば、長く持ちやすいポートフォリオになるのか」
を一緒に考えてみたいと思います。
- そもそも、なぜ高配当株を分散するのか
- 高配当株では「配当の分散」も大切
- では、何銘柄持てばいい?
- まず「1銘柄の比率」を見てみる
- すべて同じ金額にする必要はない
- 高配当株で特に注意したい「業種の偏り」
- 10銘柄あっても、実質的には分散していない?
- 「業種」だけでなく「何で稼いでいるか」を見る
- 景気敏感株と比較的安定した企業を組み合わせる
- 高配当だからといって「安定株」とは限らない
- 配当利回りの高さにも偏らない
- 配当収入の割合も確認してみる
- 「1社減配したらどうなる?」と考えてみる
- 分散のためだけに魅力のない株を買わない
- 銘柄数を増やしすぎる問題もある
- 個別株だけで分散しなくてもいい
- NISAと特定口座を合わせて見る
- 最初から完成形を作る必要はない
- 売却せずにバランスを変えることもできる
- 自分のポートフォリオを一覧にしてみよう
- ポートフォリオを確認する5つの質問
- 「理想のポートフォリオ」を作りすぎない
- 私自身が大切だと思うこと
- まとめ:大切なのは「何銘柄」より「何に分散しているか」
そもそも、なぜ高配当株を分散するのか
分散する理由は、
とてもシンプルです。
一つの会社に何かあったときの影響を小さくするため
です。
どれだけ詳しく企業を調べても、
将来を完全に予測することはできません。
業績が悪化する。
競争環境が変わる。
大きな不祥事が起こる。
想定外の規制が導入される。
減配する。
さまざまなことが起こります。
もし資産のすべてを一つの会社へ投資していれば、
その会社の変化が、
自分の資産全体へ大きく影響します。
複数の企業へ分散しておけば、
一社で問題が起きても、
ポートフォリオ全体への影響を抑えることができます。
高配当株では「配当の分散」も大切
高配当株投資では、
株価だけではなく、
もう一つ分散したいものがあります。
それが、
配当収入です。
例えば、
年間30万円の配当を受け取っているとします。
そのうち、
一社から10万円を受け取っている。
もしその会社が配当を半分にすれば、
年間配当は5万円減ります。
一方、
30万円の配当を多くの企業から分散して受け取っていれば、
一社が減配しても、
配当収入全体への影響は小さくなります。
高配当株では、
資産額だけではなく、
「自分の配当収入を、どの会社が支えているのか」
という視点も持っておきたいところです。
では、何銘柄持てばいい?
ここが一番気になるところだと思います。
ただ、
残念ながら、
「○銘柄なら正解」
という数字はありません。
5銘柄でも、
それぞれ異なる業種へ分散し、
投資金額も均等に近ければ、
ある程度リスクは分散されます。
反対に、
20銘柄保有していても、
特定の業種や一部の大型株へ集中していれば、
思ったほど分散されていないことがあります。
そのため、
銘柄数を考えるときには、
「何社持っているか」だけではなく、「何に分散できているか」
を見る必要があります。
まず「1銘柄の比率」を見てみる
最初に確認したいのが、
1銘柄当たりの保有比率です。
例えば、
高配当株へ500万円投資しているとします。
そのうち、
A社が200万円。
残り300万円を9社へ投資している。
全部で10銘柄です。
銘柄数だけを見れば、
ある程度分散しているように見えます。
でも、
A社だけで40%を占めています。
A社の株価が大きく下落したり、
減配したりすれば、
ポートフォリオ全体への影響も大きくなります。
だからこそ、
「何銘柄持っているか」と「一社に何%投資しているか」はセットで見る
ことが大切です。
すべて同じ金額にする必要はない
では、
10銘柄なら、
すべて10%ずつにすればよいのでしょうか。
必ずしも、
そうする必要はないと思います。
企業によって、
自分の評価は違います。
利益が非常に安定している企業。
景気変動の影響を受けやすい企業。
まだ小さく保有して様子を見たい企業。
長期的に中心として持ちたい企業。
それぞれ役割が違います。
そのため、
自分が特に信頼している企業を少し多めにする。
景気変動の大きな企業は少なめにする。
といった考え方もできます。
重要なのは、
一社が大きくなりすぎていないかを自分で把握していること
です。
高配当株で特に注意したい「業種の偏り」
次に確認したいのが、
業種分散です。
高配当株を探していると、
どうしても特定の業種が候補に多く出てくることがあります。
例えば、
銀行。
保険。
商社。
通信。
エネルギー。
不動産。
こうした業種です。
どれも魅力的な企業があります。
ただ、
利回りの高い順に買っていった結果、
ポートフォリオの多くが、
金融や資源関連になっている。
そんなことも起こります。
10銘柄あっても、実質的には分散していない?
例えば、
10銘柄を保有しているとします。
銀行3社。
保険2社。
商社3社。
通信2社。
企業としては、
10社に分散されています。
でも、
大きく分ければ、
金融5社。
商社3社。
通信2社。
です。
金利環境が大きく変化した場合、
銀行と保険が同時に影響を受ける可能性があります。
資源価格が大きく変動すれば、
複数の商社が同じ方向へ動くこともあります。
つまり、
企業名が違うだけでは、十分な分散とは限らない
ということです。
「業種」だけでなく「何で稼いでいるか」を見る
さらに一歩進めるなら、
業種分類だけではなく、
企業の利益を動かしている要因
を考えてみます。
例えば、
同じ製造業でも、
国内消費の影響を強く受ける会社。
海外売上が多く為替の影響を受ける会社。
原油価格の影響を受ける会社。
半導体需要の影響を受ける会社。
それぞれ違います。
反対に、
業種が違っていても、
同じ景気要因に強く影響される企業もあります。
だからこそ、
ポートフォリオを見るときには、
「銀行が何社、商社が何社」
だけでなく、
「自分の保有企業は何が起きると一緒に業績が悪くなるのか」
と考えてみると、
本当の偏りが見えやすくなります。
景気敏感株と比較的安定した企業を組み合わせる
企業の利益は、
景気から受ける影響も異なります。
景気が良いときには、
利益が大きく伸びる。
一方、
景気が悪化すると、
利益も大きく減る。
こうした企業は、
一般に景気敏感株と呼ばれることがあります。
一方、
生活に必要な商品やサービスなど、
景気が悪くても需要が大きく変わりにくい事業もあります。
高配当株ポートフォリオを作るときには、
どちらか一方だけに偏らず、
異なる特徴を持つ企業を組み合わせる
という考え方があります。
高配当だからといって「安定株」とは限らない
ここは、
注意したいところです。
高い配当を出している。
大企業である。
長い歴史がある。
だから、
株価も利益も安定している。
とは限りません。
例えば、
資源価格。
為替。
金利。
不動産市況。
自動車需要。
半導体市況。
企業によって、
利益を大きく動かす要因があります。
高配当株を集めるときには、
「配当利回りが高い企業を分散して買う」
だけではなく、
利益が動く理由まで分散する
ことを意識したいところです。
配当利回りの高さにも偏らない
もう一つ考えておきたいのが、
ポートフォリオ全体の配当利回りです。
例えば、
利回り5%以上の企業だけを集める。
一見すると、
効率的に配当収入を増やせそうです。
でも、
高い配当利回りには、
理由がある場合があります。
成長期待が低い。
業績変動が大きい。
減配リスクが意識されている。
株価が大きく下落している。
そこで、
現在の利回りはそれほど高くなくても、
利益成長と増配が期待できる企業を組み合わせる。
という方法もあります。
「現在の高配当」と「将来の増配」を分散して持つ
という考え方です。
配当収入の割合も確認してみる
保有金額とは別に、
年間配当金についても一覧にしてみると、
新しいことが見えてきます。
例えば、
A社 年間配当5万円
B社 4万円
C社 3万円
D社 2万円
E社 2万円
その他 4万円
年間配当合計20万円。
この場合、
A社だけで配当収入の25%を占めています。
もしA社が50%減配すると、
年間配当収入は2万5,000円減ります。
株価だけを見ていると気づきにくいですが、
配当収入から見ると、
特定企業への依存が大きいことがあります。
「1社減配したらどうなる?」と考えてみる
ポートフォリオを確認するとき、
簡単にできる方法があります。
それが、
「一番多く配当を受け取っている会社が50%減配したらどうなるか」
と考えてみることです。
生活にほとんど影響しない。
ポートフォリオ全体の配当も数%しか減らない。
それなら、
ある程度分散できていると考えられます。
反対に、
一社の減配だけで、
年間配当収入が大きく減ってしまう。
その場合には、
新しく投資するときに別の企業や業種を選ぶことで、
少しずつ偏りを小さくできます。
分散のためだけに魅力のない株を買わない
ここまで分散について考えてきましたが、
分散を意識しすぎることにも注意が必要です。
例えば、
「食品株を持っていないから何か買わなければ」
「医薬品がないから一社追加しよう」
と考える。
でも、
自分が投資したい企業が見つからない。
それでも、
分散のためだけに買う必要はありません。
現金のまま待つ。
ETFを利用する。
新しい候補企業を探す。
いろいろな選択肢があります。
ポートフォリオの空欄を埋めることが投資の目的ではありません。
納得できる企業がないなら、
無理に買わなくてもいいと思います。
銘柄数を増やしすぎる問題もある
分散を進めれば、
銘柄数は増えていきます。
でも、
増やせば増やすほど良いわけではありません。
例えば、
50銘柄。
100銘柄。
と保有すると、
一社一社の決算を確認するだけでも大変になります。
なぜ買ったのか。
今の業績はどうなのか。
配当方針は変わっていないか。
それを把握できなくなれば、
個別株へ投資している意味も薄れてしまいます。
だからこそ、
自分が継続して確認できる範囲に収める
ことも大切です。
個別株だけで分散しなくてもいい
資産形成全体で考えると、
すべての分散を高配当個別株だけで実現する必要もありません。
例えば、
高配当個別株。
インデックス投資信託。
ETF。
現金。
その他の資産。
を組み合わせている場合、
すでに資産全体では幅広く分散されているかもしれません。
個別株部分だけを見て、
「もっと銘柄を増やさなければ」
と考える必要はない場合もあります。
大切なのは、
高配当株だけではなく、自分の資産全体を見ること
です。
NISAと特定口座を合わせて見る
同じことは、
口座についてもいえます。
NISAではA社。
特定口座ではB社。
というように保有していたとしても、
投資先としては一つのポートフォリオです。
「NISAのポートフォリオ」
「特定口座のポートフォリオ」
と完全に分けて考えるより、
自分が保有している資産全体で、
どの企業や業種にどの程度投資しているのか。
を見る方が、
実際のリスクを把握しやすくなります。
最初から完成形を作る必要はない
高配当株投資を始めたばかりの段階で、
「最終的に20銘柄にする」
と決める必要はありません。
最初は、
自分がよく理解できる企業を数社持つ。
その後、
良い企業を見つけたら追加する。
特定業種が多くなってきたら、
次の投資先では別の業種を検討する。
一社の比率が大きくなったら、
新しい資金は別の企業へ振り向ける。
このように、
投資を続けながら少しずつポートフォリオを整えていく
方法もあります。
売却せずにバランスを変えることもできる
例えば、
ある銀行株が値上がりし、
ポートフォリオの中で大きな割合になったとします。
すぐに売却して比率を下げる方法もあります。
でも、
必ず売る必要はありません。
その後の追加投資を、
通信。
製造業。
サービス。
別の特徴を持つ企業。
などへ振り向けることで、
相対的に銀行株の比率を下げることもできます。
配当金を再投資するときに、
保有比率の低い業種へ回す方法もあります。
「売って調整する」だけではなく、「新しい投資先で調整する」
という選択肢も持っておきたいところです。
自分のポートフォリオを一覧にしてみよう
高配当株が増えてきたら、
一度一覧にしてみることをおすすめします。
例えば、
銘柄名
業種
投資金額
資産全体に占める比率
年間配当金
配当収入に占める比率
利益に影響する主な要因
などです。
一覧にすると、
「金融株が思ったより多い」
「この一社だけ投資金額が大きい」
「配当の30%を二社から受け取っている」
「為替の影響を受ける会社が多い」
といったことに気づきやすくなります。
ポートフォリオを確認する5つの質問
難しい分析をしなくても、
次の5つを定期的に確認するだけでもよいと思います。
① 一社だけ保有金額が大きくなっていないか?
② 特定の業種へ集中していないか?
③ 同じ経済環境で業績が悪化する企業ばかりではないか?
④ 配当収入が特定企業へ偏っていないか?
⑤ 自分が継続して決算を確認できる銘柄数になっているか?
一つでも気になるものがあれば、
次に投資するときに少し調整する。
それくらいでも、
ポートフォリオは徐々に変わっていきます。
「理想のポートフォリオ」を作りすぎない
ポートフォリオについて調べると、
理想的な比率を作りたくなることがあります。
金融10%。
通信10%。
商社10%。
製造業20%。
というように、
細かく決める方法です。
もちろん、
自分なりの目安を持つことは役立ちます。
でも、
実際の企業や株価は常に変化します。
株価が上昇すれば、
保有比率も変わります。
企業が増配すれば、
配当収入の比率も変わります。
新しい魅力的な企業が出てくることもあります。
だからこそ、
最初から完璧な形を作るより、
「大きく偏っていないか」を定期的に確認する
くらいから始めてもいいと思います。
私自身が大切だと思うこと
高配当株を探していると、
魅力的な企業を次々と見つけることがあります。
そして、
良い会社だから買う。
配当利回りが高いから買う。
増配しているから買う。
と続けているうちに、
いつの間にか保有銘柄が増えていきます。
でも、
一社一社が良い会社でも、
組み合わせた結果、
自分が想像していた以上に偏ったポートフォリオになることがあります。
だからこそ、
個別株を見るだけでなく、
時々少し離れて、
「自分は今、何に投資しているのだろう?」
と全体を見る。
金融に投資しているのか。
資源価格に投資しているのか。
国内消費に投資しているのか。
海外経済に投資しているのか。
そして、
どの会社から配当を受け取っているのか。
そう考えてみると、
単なる銘柄一覧だったものが、
一つのポートフォリオとして見えてきます。
まとめ:大切なのは「何銘柄」より「何に分散しているか」
高配当株は、
何銘柄持てばいいのか。
この質問に、
一つの正解はありません。
10銘柄でも、
十分に分散できている場合があります。
20銘柄あっても、
大きく偏っている場合があります。
だからこそ、
銘柄数だけではなく、
1銘柄当たりの保有比率。
業種。
利益を左右する要因。
配当収入の割合。
まで見てみる。
そして、
自分の資産全体とのバランスも考える。
分散の目的は、
たくさんの株を持つことではありません。
一社や一つの業種に何かあったとしても、
自分の資産形成を続けられる状態を作ること
です。
完璧なポートフォリオを、
最初から作る必要はありません。
良い企業を一つずつ選びながら、
偏りが大きくなっていないか確認する。
必要なら、
次の投資先で少し調整する。
そんなふうに、
時間をかけて自分なりのポートフォリオを育てていく。
それも、
長期の高配当株投資の一つの楽しみ方ではないでしょうか。
