前回のおさらい
前回の記事では、E(従業員)から抜け出す第一歩としての S(自営業・フリーランス) の働き方について考えました。
Sは「自分の力で稼ぐ」自由を得られる一方で、「働き続けないと収入が止まる」という限界もあるのが特徴でした。今回はその次のステップである B(ビジネスオーナー) について掘り下げます。
B(ビジネスオーナー)とは?
ロバート・キヨサキ氏の「キャッシュフロー・クワドラント」でいう B は、自分が現場に立たずとも、ビジネスが仕組みとして収益を生み出す立場を指します。
- 自分は経営全体の方向性を決める
- 実務はスタッフや仕組みが担う
- 自分の時間を使わなくても収入が入る
つまり「人やシステムを動かして稼ぐ」というステージです。これはEやSとはまったく異なる段階であり、経営者としての力量が問われる領域でもあります。
SからBへ移行するための考え方
S(自営業)のままでは「時間=収入」から抜けられません。ここでBへ移るために必要になるのが「人に任せる力」です。
具体的には以下のステップが考えられます。
- 仕組み化
自分がいなくても回るように、業務を分解し、マニュアルやシステムに落とし込む。
例:オンラインスクールの自動販売、予約システムの導入など。 - 人材に任せる
業務を外注・スタッフに任せる。自分がやるより効率的であれば思い切って投資する。 - 無人型・自動型のビジネスモデルを意識
ECサイト、サブスクモデル、フランチャイズ、アフィリエイトなどは典型例。
Bの強みと魅力
Bの最大の魅力は「自分の時間が解放されること」です。
- 自分が休んでいても収入が入る
- 規模を大きくしやすい(人材を増やせば収益拡大が可能)
- FIRE後も「事業オーナー」として収益源を確保できる
これは単なる資産運用(I)とは違い、短期間で大きな収益を得られる可能性を秘めています。**EやSの段階では得られない「レバレッジの効いた収入」**を実現できるのがBの真骨頂です。
Bの課題とリスク
一方で、BにはS以上のリスクも伴います。
- 初期投資が大きくなる(設備投資・人件費)
- 人材マネジメントの難しさ(人が辞めると仕組みが崩れることも)
- 競合や市場変化に対応し続ける必要がある
つまり「完全放置で儲かるビジネス」はほぼ存在せず、経営者としての決断力・ビジョン・人材活用力が求められます。これはEやSの延長線ではなく、別のゲームに参加するようなものだと言えるでしょう。
FIREとの関係性
FIREを目指す人にとって、Bの考え方は大きなヒントになります。
- 投資収入(I)だけでなく、事業収入(B)を持つことで収入源を多角化できる
- 事業が安定すれば、株価や金利変動に左右されにくい「生活の柱」になる
- 引退後も「オーナー業」として軽く関わることで社会とのつながりを保てる
例えば、小規模なECサイトを作り自動化したり、フランチャイズのオーナーになることも「B」の一形態です。もちろん成功までのハードルは高いですが、達成できればEやSでは得られない圧倒的な自由度が手に入ります。
まとめ
B(ビジネスオーナー)はFIREを目指す人にとって、 「時間から解放される収入源」 を築く大きな一歩です。
ただし、仕組み化・人材マネジメント・経営判断などの壁があり、簡単ではありません。EやSとは異なるステージに挑む覚悟が必要です。
しかし、それを乗り越えた先には「自分の時間と収入の両立」という大きなリターンが待っています。
次回は最後のクワドラント I(投資家) を取り上げ、Bとどう違うのか、FIREにおいてどちらがより重要なのかを考えていきたいと思います。

