前回の記事では、E(従業員)、S(自営業)を経て、B(ビジネスオーナー) の立場について掘り下げました。Bは「仕組みを作り、人を動かすことで収入を得る」ステージであり、EやSとはまったく異なる次元に入るものでした。
今回取り上げるのは、キャッシュフロークワドラントの最後の区分である I(投資家) です。ここは「お金に働いてもらう」領域であり、FIREとの関係も非常に深いポイントになります。
I(投資家)とは?
ロバート・キヨサキ氏の定義する I(Investor/投資家) とは、株や債券などの金融資産、あるいは不動産・事業投資などを通じて収入を得る立場を指します。
特徴は以下の通りです。
- 自分が働かなくても資産が収入を生み出す
- レバレッジが効くため、大きな利益を得られる可能性がある
- 反面、資産を失うリスクもある
EやSが「時間をお金に変える」働き方だとすれば、Iは「資産をお金に変える」仕組みを構築する段階だと言えます。
BとIの違い
B(ビジネスオーナー)とI(投資家)は混同されがちですが、明確な違いがあります。
- B:仕組みを作り、人やシステムを動かす
→ 自ら事業の設計や意思決定に関与する必要あり - I:資産を投じ、リターンを得る
→ 事業や資産を所有しているが、実務は他人や市場に委ねる
つまり、Bは「経営者」としてのスキルが必要ですが、Iは「投資判断力」と「資産管理力」が必要になります。FIREにおいては、多くの人が最終的に BではなくIに軸足を移す ことで安定した生活を得るケースが多いのです。
FIREとの関係
FIREを目指す上でIのクワドラントは非常に重要です。なぜなら、FIREの根幹は「労働収入ではなく資産からの収入で生活する」ことにあるからです。
具体的な関わり方は以下の通りです。
- 配当株・インデックス投資
定期的に配当や売却益を得て生活費をカバー。 - 不動産投資
家賃収入によって安定したキャッシュフローを確保。 - 事業投資・ベンチャー投資
高リターンを狙う代わりにリスクも大きい。
FIRE達成者の多くは、SやBで得た収入をIに回すことで、安定的に資産からの収入を得る仕組みを作っています。
Iに至るまでのプロセス
Iのステージに入るには、最初から多額の資産を持っている必要はありません。むしろ大半の人は以下のプロセスを経ます。
- Eで労働収入を得る
- Sや副業で収入を拡大する
- Bで仕組みを作り、大きなキャッシュフローを生み出す
- その収入をIに回し、資産収入を育てる
つまり、Iは一足飛びで到達できるものではなく、E・S・Bを経た先にある「最終形態」とも言えるのです。
Iの魅力と課題
魅力
- 自分の時間をほぼ使わずに収入が得られる
- 資産規模に応じてリターンが増える
- 景気に左右されつつも、長期的には安定資産形成が可能
課題
- 初期資産が必要(ゼロからは難しい)
- 投資判断を誤れば大きな損失を被る
- 感情や短期的な相場に流されない強いメンタルが必須
FIRE達成後も、投資家として資産を守り増やす力がなければ、リタイア生活が不安定になるリスクがあります。
まとめ
I(投資家)はキャッシュフロークワドラントの最終ステージであり、FIRE実現に不可欠な立場です。B(ビジネスオーナー)が「仕組みを作る力」を必要とするのに対し、Iは「資産を運用する力」が求められます。
最終的に目指すべきは、自分が動かずとも資産が働き続ける状態。これはEやSでは得られない真の自由を意味します。
