【高配当株・個別株実践編 第3回】高配当株より増配株?「今の利回り」と「将来の配当」をどう考えるか

FIRE・資産形成

高配当株を探していると、

こんな2つの会社があったとします。

A社:配当利回り5%

B社:配当利回り3%

現在の配当だけを見れば、

A社の方が魅力的です。

100万円投資した場合、

単純計算では、

A社なら年間5万円。

B社なら年間3万円。

最初の1年間だけを考えれば、

その差は2万円あります。

では、

長期投資でもA社の方が良いのでしょうか。

ここで考えてみたいのが、

「増配」

です。

もしA社の配当がほとんど増えず、

B社が利益成長とともに配当を増やし続けたら、

5年後、10年後には状況が変わっているかもしれません。

高配当株投資では、

「今いくらもらえるのか」

に目が向きやすくなります。

でも、

長期で保有するのであれば、

「将来いくらもらえるようになるのか」

という視点も持っておきたいところです。

今回は、

高配当株と増配株の違いから、

長期の配当投資について一緒に考えてみたいと思います。


そもそも「増配」とは?

増配とは、

企業が1株当たりの配当金を増やすことです。

例えば、

1株当たり年間配当が、

50円から55円。

55円から60円。

60円から65円。

というように増えていけば、

株主が受け取る配当金も増えていきます。

100株保有していれば、

年間5,000円だった配当が、

5,500円。

6,000円。

6,500円。

と増えていくイメージです。

追加で株を買わなくても、

企業が増配すれば、

自分が受け取る配当金は増えます。

ここが、

長期の配当投資では大きなポイントになります。


高配当株と増配株は同じではない

「高配当株」と「増配株」は、

似ているようで少し違います。

高配当株は、

現在の株価に対して配当金が多い株

です。

一方、

増配株は、

配当金を継続的に増やしている、または今後増やしていくことが期待される株

と考えることができます。

もちろん、

高配当でありながら増配している企業もあります。

理想的に見えますが、

すべての企業がそうではありません。

現在の利回りは高いけれど、

配当が何年もほとんど変わっていない企業。

現在の利回りはそれほど高くないけれど、

毎年少しずつ増配している企業。

どちらを選ぶのか。

ここに、

投資家それぞれの考え方が表れます。


5%と3%を10年で考えてみる

簡単な例を考えてみましょう。

A社は、

購入時の配当利回りが5%。

その後10年間、

配当金が変わらなかったとします。

一方、

B社は、

購入時の配当利回りが3%。

その後、

毎年7%ずつ配当が増えたと仮定します。

100万円を投資した場合、

最初の年間配当は、

A社が5万円。

B社が3万円です。

最初はA社が大きく上回っています。

しかし、

B社の配当が毎年7%ずつ増えていけば、

10年後には、

年間配当は約5万5,000円になります。

つまり、

その時点の年間配当額ではB社がA社を上回ります。

もちろん、

これは分かりやすくするための仮定です。

実際に毎年同じ割合で増配できる企業は限られます。

それでも、

「現在の配当利回りだけでは長期の配当収入は決まらない」

ということはイメージしやすいと思います。


ただし「10年後に逆転すればB社の方が得」とは限らない

ここは少し注意したいところです。

先ほどの例では、

10年後の年間配当額だけを比較しました。

でも、

それまでに受け取った配当の累計額では、

長い間A社が多くなっています。

さらに、

株価の値動きもあります。

配当を再投資するかもしれません。

税金の扱いも口座によって異なります。

そのため、

「増配株なら高配当株より必ず有利」

と考えるのも少し違います。

高配当株と増配株には、

それぞれ違った魅力があります。


「今の配当」が重要な人もいる

例えば、

現在の配当収入を生活費の一部として使いたい人。

退職後に、

配当収入を増やしたい人。

こうした場合には、

将来の増配だけではなく、

現在受け取れる配当額も重要になります。

反対に、

まだ資産形成の途中で、

10年、20年という長い投資期間がある場合。

現在の配当利回りが多少低くても、

利益と配当が成長していく企業に投資する考え方もあります。

つまり、

高配当と増配のどちらを重視するかは、投資目的や時間軸によって変わる

ということです。


増配株で見たいのは「増配率」

増配株を見るときに、

一つ参考になるのが、

増配率です。

例えば、

年間配当が100円から110円になれば、

増配率は10%です。

100円から103円なら、

3%です。

1年間だけでなく、

数年間の推移を見ることで、

その企業がどの程度のペースで配当を増やしてきたのかが分かります。

ただし、

ここでも単純に

「増配率が高いほど良い」

とは考えない方がよいでしょう。


1年だけの大幅増配には注意する

例えば、

配当が100円から150円になった。

増配率は50%です。

かなり魅力的に見えます。

でも、

その年だけ特別利益が出たのかもしれません。

配当方針を変更した直後なのかもしれません。

一時的な記念配当が含まれているかもしれません。

だからこそ、

1年間だけを見るのではなく、

5年、10年といった期間で配当がどのように推移してきたか

を確認したいところです。

毎年少しずつ増えている。

利益成長とともに増えている。

厳しい時期でも大幅に減らしていない。

こうした実績の方が、

長期投資では参考になる場合があります。


増配を支えるのは「利益成長」

では、

企業はどうすれば増配を続けられるのでしょうか。

基本になるのは、

やはり

利益の成長

です。

例えば、

EPSが100円で、

配当が50円。

配当性向50%の企業があるとします。

翌年、

EPSが110円になり、

配当も55円になった。

この場合、

配当性向は50%のままです。

利益が10%増え、

配当も10%増えています。

これは、

利益成長によって増配を支えている分かりやすい形です。


利益が増えていない増配には限界がある

反対に、

EPSが100円のままなのに、

配当だけが、

50円。

60円。

70円。

80円。

と増えていったらどうでしょうか。

配当性向は、

50%。

60%。

70%。

80%。

と上昇していきます。

短期的には、

増配を続けることができます。

でも、

利益が増えなければ、

いつか配当を増やす余地は小さくなります。

だからこそ、

増配株を見るときには、

「配当が増えているか」だけでなく、「EPSも増えているか」

をセットで確認したいところです。


配当性向に「余白」があるか

増配余力を考えるときには、

配当性向も役立ちます。

例えば、

利益が安定していて、

配当性向にも一定の余裕がある企業なら、

利益成長とともに増配できる可能性があります。

反対に、

すでに利益のほとんどを配当に回している企業では、

大きな増配を続けるためには、

より強い利益成長が必要になります。

第2回で減配リスクを見るために使った配当性向は、

将来の増配余力を見るためにも使える

ということです。


株主還元方針も確認する

利益が増えたからといって、

必ず増配するわけではありません。

企業は利益を、

設備投資。

研究開発。

M&A。

借入金の返済。

内部留保。

自社株買い。

などにも使います。

そこで確認したいのが、

企業の

株主還元方針

です。

継続的な増配を目指す。

累進配当を採用する。

配当性向○%を目安にする。

DOEを採用する。

こうした方針を企業が示していれば、

利益をどのように株主へ還元しようとしているのかが分かります。

もちろん、

方針があるから将来の増配が保証されるわけではありません。

それでも、

長期保有を考えるうえでは重要な材料になります。


「取得価格に対する将来の配当利回り」という考え方

長期の配当投資では、

少し面白い見方があります。

それが、

自分が購入した価格に対して、将来どのくらいの配当を受け取っているか

という考え方です。

例えば、

株価2,000円のときに購入し、

当時の年間配当が60円だったとします。

購入時の配当利回りは3%です。

その後、

企業が増配を続け、

年間配当が100円になったとします。

自分が購入した2,000円に対して考えれば、

年間100円の配当なので、

5%に相当します。

さらに年間配当が120円になれば、

6%に相当します。

最初は3%だったとしても、

長く保有することで、

自分の取得価格に対して受け取る配当が大きくなっていく

わけです。


ただし「取得価格に対する利回り」だけで判断しない

この考え方は、

長期保有による増配の効果を実感するには分かりやすいものです。

ただし、

投資判断では注意も必要です。

例えば、

2,000円で買った株から年間120円の配当を受け取っている。

取得価格に対して6%です。

でも、

現在の株価が4,000円になっているとします。

現在の株価に対する配当利回りは3%です。

そして、

その4,000円分の資産をこれからも保有するか、

別の資産へ振り向けるかを考える場合には、

取得価格だけを基準にするのは十分ではありません。

過去にいくらで買ったかと、今その資産を持ち続けるべきかは別の問題

だからです。

取得価格に対する利回りは、

増配の成果を見る一つの指標として使う。

投資判断では、

現在の株価、企業価値、将来性なども合わせて考える。

このように分けて考えたいところです。


高配当株と増配株、どちらを選ぶ?

ここまで考えると、

「結局どちらがいいの?」

と思うかもしれません。

私は、

必ずどちらか一方を選ぶ必要はないと思っています。

例えば、

現在の配当利回りもある程度高く、今後の増配も期待できる企業

を探す方法があります。

現在の配当利回りが3~4%程度。

利益が安定している。

EPSが長期的に成長している。

配当性向に無理がない。

増配実績がある。

株主還元にも積極的。

こうした企業であれば、

現在の配当と将来の増配、

両方を期待することができます。

もちろん、

数字はあくまで一例です。

業種や企業によって適切な水準は異なります。


「高配当+増配」という視点

高配当株投資というと、

配当利回りランキングの上位から探したくなります。

でも、

少し視点を変えて、

「ある程度の配当利回りがあり、今後も配当が育ちそうな企業」

を探してみる。

これは、

長期投資では一つの考え方になると思います。

例えば、

現在6%だけれど、

利益が減少していて減配リスクが高い企業。

現在3.5%だけれど、

利益成長を続け、

増配実績もある企業。

数字だけなら前者が高配当です。

でも、

10年間保有することを考えるなら、

判断はそれほど単純ではありません。


増配株でも「高値づかみ」には注意したい

良い会社を見つけたからといって、

どんな株価でも買っていいわけではありません。

企業の利益が成長している。

増配を続けている。

財務も健全。

非常に魅力的な会社だったとしても、

株価が大きく上昇していれば、

配当利回りは低下します。

さらに、

将来の成長期待が株価へ十分に織り込まれている可能性もあります。

だからこそ、

「良い会社か」と「今買いたい株価か」は分けて考える

ことも大切です。

これは、

高配当株だけでなく、

個別株投資全体に共通する考え方です。


配当利回りを見るときに「過去の自社水準」と比べる

現在の配当利回りが高いのか低いのかを考えるとき、

他社との比較だけではなく、

その企業自身の過去の配当利回り

と比べる方法もあります。

例えば、

普段は配当利回り3%前後で取引されている企業が、

株価下落によって4%近くになっている。

しかも、

業績や配当方針には大きな変化がない。

そんな場合には、

投資を検討する材料の一つになります。

反対に、

配当利回りが急上昇している場合には、

「割安になった」

とすぐ判断するのではなく、

業績悪化や減配懸念によって株価が下落していないかを確認します。


高配当株投資では「時間」を味方につける

増配株の魅力は、

1年では分かりにくいかもしれません。

3%と5%なら、

最初は5%の方が明らかに多くの配当を受け取れます。

でも、

5年。

10年。

20年。

と時間が長くなるほど、

利益成長と増配の積み重ねが大きくなります。

さらに、

受け取った配当を再投資すれば、

保有株数そのものを増やすこともできます。

企業の増配 × 配当再投資

という2つの力で、

配当収入を育てていくこともできます。


私自身が大切だと思うこと

高配当株を探していると、

どうしても現在の数字に目が向きます。

3%。

4%。

5%。

数字が高いほど、

魅力的に見えます。

でも、

長期で配当を受け取るのであれば、

私は、

「今いくらもらえるか」と同じくらい、「その配当がこれから育つか」

を大切にしたいと思っています。

利益が増える。

EPSが増える。

企業の競争力が高まる。

そして、

配当も少しずつ増える。

そんな会社を長く保有できれば、

投資を始めたときにはそれほど高配当でなくても、

時間とともに受け取る配当が大きくなる可能性があります。

高配当株投資は、

今の配当を受け取る投資でもあります。

同時に、

将来の配当を育てる投資

として考えることもできるのではないでしょうか。


まとめ:「今の利回り」と「将来の配当」の両方を見よう

高配当株と増配株。

どちらが正しい、

というものではありません。

現在の配当収入を重視するなら、

高い配当利回りには魅力があります。

長い投資期間があり、

将来の配当収入を増やしたいのであれば、

増配も重要になります。

だからこそ、

高配当株を探すときには、

現在の配当利回りだけではなく、

増配率。

EPSの成長。

配当性向。

株主還元方針。

事業そのものの成長性。

まで少しずつ見ていく。

そして、

「今、何%もらえる会社か」

だけではなく、

「10年後にも持っていたい会社か」

と考えてみる。

そうすると、

高配当株の選び方も少し変わってきます。

現在の配当を大切にしながら、

将来の配当も育てていく。

そんな視点を持つことが、

長期の高配当株投資では大切なのではないでしょうか。

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