「この会社は長期で持ちたい」
と思える企業を見つけた。
業績も安定している。
配当も増えている。
財務にも大きな問題はなさそう。
では、
今すぐ買えばいいのでしょうか。
ここが、
個別株投資の難しいところです。
どれだけ良い会社でも、
株価が大きく上昇していれば、
買うことを迷います。
反対に、
株価が大きく下落すると、
「安くなったから買い時では?」
と思います。
でも、
株価が下がったのには、
何か理由があるかもしれません。
高配当株を選ぶことと、
高配当株を買うことは、
少し違う判断です。
そこで今回は、
「良い会社か」と「今買いたい株価か」を分けて考える
という視点から、
高配当株の買い時について一緒に考えてみたいと思います。
- 「良い会社」と「良い投資」は同じとは限らない
- まず企業を選び、その後で株価を見る
- 高配当株では、まず配当利回りを見る
- 「利回り4%なら買い」と決めればいい?
- 過去の配当利回りと比較してみる
- ただし、過去の利回りだけでも判断できない
- PERから「利益に対して高いか」を見る
- 「PERが低い=買い」ではない
- PBRも一つの参考になる
- 配当利回り・PER・PBRを組み合わせる
- 株価が下がったときこそ「理由」を見る
- 「株価下落」と「企業価値の悪化」を分けて考える
- 高配当株の「権利確定日」は買い時になる?
- 一番安いところで買おうとしない
- 分割して買うという方法
- 「買い増し」のルールも決めておく
- 「欲しい株リスト」を作っておく
- 「買いたい価格」は固定しすぎない
- 買い時を考える5つのステップ
- 完璧な買い時を探しすぎない
- 私自身が大切だと思うこと
- まとめ:買い時は「株価」だけでは決まらない
「良い会社」と「良い投資」は同じとは限らない
個別株投資では、
魅力的な企業を見つけることが重要です。
利益が安定している。
競争力がある。
財務も健全。
株主還元にも積極的。
こうした企業なら、
長期保有したいと思います。
でも、
どれだけ良い企業でも、
株価が非常に高くなっていれば、
投資としての魅力は変わります。
例えば、
年間配当100円の会社があったとします。
株価2,000円なら、
配当利回りは5%です。
株価2,500円なら、
4%。
株価4,000円なら、
2.5%です。
会社そのものは同じでも、
自分がいくらで買うかによって、投資条件は変わる
ということです。
まず企業を選び、その後で株価を見る
私は、
個別株を考えるとき、
この順番を分けた方が分かりやすいと思っています。
まず、
「この会社を長期で保有したいか」
を考える。
その後で、
「今の株価で買いたいか」
を考える。
最初から株価だけを見ると、
「大きく下がったから買う」
「配当利回りが5%を超えたから買う」
という判断になりやすくなります。
でも、
長期投資で本当に重要なのは、
安く買うことだけではありません。
長く持ちたい会社を、納得できる価格で買うこと。
この二つを分けて考えたいところです。
高配当株では、まず配当利回りを見る
購入価格を考えるとき、
高配当株では、
やはり配当利回りが分かりやすい指標になります。
例えば、
年間配当120円の会社があったとします。
株価4,000円なら、
配当利回り3%。
3,000円なら、
4%。
2,400円なら、
5%です。
同じ会社でも、
株価が下がるほど、
購入時の配当利回りは高くなります。
長期で配当を受け取るのであれば、
購入時の利回りはその後の配当収入にも影響します。
だからこそ、
良い会社を見つけた後に、「どのくらいの利回りなら買いたいか」を考えておく
という方法があります。
「利回り4%なら買い」と決めればいい?
ここで注意したいのが、
配当利回りだけで購入価格を決めないことです。
例えば、
普段は配当利回り3%程度だった会社が、
突然5%になった。
一見すると、
絶好の買い場に見えます。
でも、
なぜ利回りが上がったのでしょうか。
配当が増えたのであれば、
良い変化かもしれません。
一方、
業績悪化によって株価が急落した結果、
利回りが上がったのかもしれません。
さらに、
今後減配されれば、
現在表示されている利回り自体が意味を失います。
だからこそ、
高い配当利回りを見つけたときほど、
「なぜ今、この利回りになっているのか」
を確認したいところです。
過去の配当利回りと比較してみる
現在の配当利回りが高いのか低いのか。
それを考える方法の一つが、
その会社自身の過去と比較すること
です。
例えば、
過去数年間、
配当利回り3~4%程度で推移していた企業があるとします。
現在、
業績や配当方針に大きな変化がないにもかかわらず、
株価下落によって4.5%になっている。
この場合、
以前より投資条件が良くなっていると考える材料になります。
反対に、
普段4%程度の企業が、
株価上昇によって2.5%になっている。
そんなときには、
良い会社だったとしても、
少し待つという判断もできます。
ただし、過去の利回りだけでも判断できない
企業は変化します。
以前より利益が増えている。
事業の競争力が高まった。
財務が改善した。
増配方針が強化された。
こうした変化があれば、
以前より株価が高く評価されることもあります。
反対に、
事業環境が悪化していれば、
過去と同じ株価水準でも割安とは限りません。
そのため、
過去の配当利回りは、
「買い時を判断する答え」ではなく、「現在地を考える材料」
として使いたいところです。
PERから「利益に対して高いか」を見る
株価水準を考えるときに、
よく使われる指標が、
PER(株価収益率)
です。
簡単にいえば、
現在の株価が、
1株当たり利益の何倍まで買われているのかを見る指標です。
例えば、
株価3,000円。
EPS300円。
であれば、
PERは10倍です。
同じEPS300円でも、
株価4,500円なら、
PER15倍です。
一般的には、
PERが低いほど割安に見え、
高いほど割高に見えます。
ただし、
ここにも注意が必要です。
「PERが低い=買い」ではない
PERが低くなる理由には、
さまざまなものがあります。
市場から成長を期待されていない。
将来の減益が予想されている。
業績変動が大きい。
特定のリスクを抱えている。
こうした理由で、
低いPERになっていることがあります。
反対に、
利益成長への期待が高い企業は、
高いPERでも評価されることがあります。
そのため、
「PER10倍以下だから割安」
というように、
一つの数字だけで判断するのではなく、
その会社自身の過去や、同業他社と比較する
という使い方が分かりやすいと思います。
PBRも一つの参考になる
もう一つ、
個別株でよく使われるのが、
PBR(株価純資産倍率)
です。
PBRは、
株価が1株当たり純資産の何倍になっているかを見る指標です。
PBR1倍を下回っていると、
「割安株」として注目されることがあります。
ただし、
PBRが低ければ、
必ず割安というわけではありません。
収益性が低い。
資産を有効活用できていない。
将来の成長を期待されていない。
こうした理由で、
低いPBRが続いている場合もあります。
PERと同じように、
数字の低さだけではなく、なぜ市場からその評価を受けているのか
を考える必要があります。
配当利回り・PER・PBRを組み合わせる
ここまで、
配当利回り。
PER。
PBR。
と見てきました。
どれか一つで、
「買い」
と判断する必要はありません。
例えば、
配当利回りが過去より高い。
PERも過去の平均より低い。
PBRも以前より低い。
そして、
業績や財務には大きな問題がない。
こうした条件が重なれば、
「少なくとも以前より投資を検討しやすい水準になった」
と考えることができます。
大切なのは、
一つの指標で答えを出すのではなく、複数の角度から現在の株価を見ること
です。
株価が下がったときこそ「理由」を見る
個別株で買い時を考えるとき、
最も難しいのが、
株価が大きく下がった場面です。
例えば、
以前から欲しかった株が、
20%下落した。
配当利回りも、
3.5%から4.5%になった。
「今こそ買い時では?」
と思います。
でも、
ここで一度確認したいのが、
株価が下がった理由
です。
市場全体が下落した。
金利や為替の影響を受けた。
一時的な材料で売られた。
というケースもあります。
一方、
業績予想を大幅に下方修正した。
競争力が低下している。
財務が悪化している。
減配が予想されている。
というケースもあります。
同じ20%下落でも、
意味はまったく違います。
「株価下落」と「企業価値の悪化」を分けて考える
ここは、
高配当株投資で特に大切な考え方だと思います。
株価は下がった。
でも、
企業が生み出す利益。
競争力。
キャッシュフロー。
財務。
配当方針。
これらに大きな変化がない。
そうであれば、
長期投資では魅力的な購入機会になる可能性があります。
反対に、
株価が30%下がったとしても、
企業の利益を生み出す力そのものが大きく低下しているのであれば、
単純に
「30%安く買える」
とは考えられません。
株価が安くなったのか。
それとも、
会社そのものの価値が下がったのか。
この二つを分けて考えたいところです。
高配当株の「権利確定日」は買い時になる?
配当投資をしていると、
権利確定日も気になります。
「今買えば配当がもらえる」
と思うと、
権利確定日前に買いたくなることがあります。
でも、
配当を受け取ることだけを理由に、
購入を急ぐ必要はありません。
一般に、
配当の権利を得た後には、
その分も意識された値動きが起こります。
短期的な配当を一度受け取ることより、
長期でその会社をどの価格で保有したいのか
の方が重要です。
「配当をもらい損ねたくない」
という理由だけで、
自分が納得できない株価で買う必要はないと思います。
一番安いところで買おうとしない
買い時を考えていると、
どうしても、
底値で買いたくなります。
株価3,000円で買おうと思っていた。
2,800円になった。
「もう少し下がるかもしれない」
と思って待った。
2,600円になった。
「2,500円まで待とう」
と思った。
その後、
株価は反発し、
3,500円になった。
こうしたことは、
個別株では珍しくありません。
どこが底値なのかは、
後になって初めて分かります。
だからこそ、
最安値で買うことを目標にしない
という考え方も大切です。
悲しいことに素人投資家としては、
買ったら下がるという経験が多くありますが、
避けたい気持ちはもちろんありますが、
ゼロにはできないので、
慣れるしかないかなと諦めも入っています笑
分割して買うという方法
そこで使いやすいのが、
購入時期を分ける方法
です。
例えば、
100万円投資したい企業があるとします。
最初に30万円。
さらに株価が下がったら30万円。
業績や決算を確認して残り40万円。
というように、
何回かに分けて購入します。
もちろん、
最初の購入後に株価が上昇すれば、
一括購入した方が有利だったことになります。
反対に、
さらに下落すれば、
分割購入したことで平均購入価格を抑えられます。
重要なのは、
どちらが必ず有利かではありません。
一度に買うことで生まれるタイミングのリスクを、自分がどの程度受け入れられるか
です。
「買い増し」のルールも決めておく
高配当株を長期保有する場合、
最初から100株、200株とまとめて買うだけではなく、
少しずつ保有株数を増やす方法もあります。
例えば、
最初に100株購入する。
配当利回りがさらに上がり、
業績に問題がなければ追加する。
決算を確認し、
投資判断に変化がなければ追加する。
こうしたルールを作ることもできます。
ただし、
株価が下がるたびに無条件で買い増すのは注意が必要です。
重要なのは、
「安くなったから買う」のではなく、「投資した理由が変わっていないのに安くなったから買う」
という順番です。
「欲しい株リスト」を作っておく
買い時を逃さないために、
一つおすすめしたいのが、
自分なりの購入候補リストを作っておくこと
です。
例えば、
A社。
長期保有したい。
配当利回り4%前後なら検討。
B社。
増配期待が高い。
PERが過去水準まで下がったら検討。
C社。
良い会社だが現在は割高と考えている。
株価下落時に再確認。
このように、
買う前から候補を決めておきます。
すると、
市場が大きく下落したときにも、
慌てて銘柄探しをする必要がありません。
「買いたい価格」は固定しすぎない
ただし、
購入候補リストを作る場合にも注意があります。
例えば、
「3,000円になったら絶対に買う」
と決めていたとします。
その後、
会社の利益が大きく減った。
配当予想も引き下げられた。
それでも、
3,000円になったから買う。
これは少し違います。
反対に、
利益が大きく成長し、
配当も増えた場合には、
以前の3,000円という基準自体が古くなっているかもしれません。
だからこそ、
買いたい価格は、
決算や企業価値の変化に合わせて定期的に見直す
必要があります。
買い時を考える5つのステップ
ここまでを、
一度整理してみましょう。
高配当株を購入するときには、
私は次のような順番で考えると分かりやすいと思います。
STEP1 長期保有したい企業か
利益、競争力、財務、株主還元などを確認する。
↓
STEP2 配当利回りは魅力的か
現在の利回りと過去の水準を比較する。
↓
STEP3 株価は高すぎないか
PERやPBRなども使いながら、過去や同業他社と比較する。
↓
STEP4 株価が動いた理由を確認する
特に大きく下落している場合は、企業価値の悪化ではないかを見る。
↓
STEP5 一度に買うか、分けて買うかを決める
自分が許容できるタイミングリスクに合わせて購入する。
この順番なら、
「利回りが高いから買う」
という判断から、
「長く持ちたい会社が、自分にとって納得できる条件になったから買う」
という判断へ変わっていきます。
完璧な買い時を探しすぎない
ここまで、
買い時についていろいろ考えてきました。
でも、
最後に一つ、
忘れたくないことがあります。
それは、
完璧な買い時は分からない
ということです。
どれだけ分析しても、
買った翌日に株価が10%下がることはあります。
反対に、
「もう少し安くなったら」
と思っている間に、
株価が上がり続けることもあります。
だからこそ、
100点の買い時を探すのではなく、
自分が考える条件をある程度満たしたら、
少しずつ投資する。
そんな方法もあります。
私自身が大切だと思うこと
良い会社を見つけると、
すぐに欲しくなることがあります。
特に、
利益が伸びている。
増配している。
株価も上がっている。
そんな企業は、
魅力的に見えます。
でも、
長期で保有するのであれば、
買う瞬間だけでなく、
その後何年も付き合うことになります。
だからこそ、
私は、
「良い会社を見つけること」と「良い条件で買うこと」を分けて考える
ことが大切だと思っています。
良い会社だけれど、
今は少し高い。
なら、
待ってもいい。
良い会社が下がってきた。
でも、
業績が悪化している。
なら、
もう一度調べる。
良い会社が、
自分の納得できる水準まで下がってきた。
そして、
企業への評価は変わっていない。
そんなときに、
少しずつ買っていく。
必ず最安値で買う必要はありません。
「この価格なら、長く持っていきたい」
と思えるところで投資する。
それくらいの考え方でもいいのではないでしょうか。
まとめ:買い時は「株価」だけでは決まらない
高配当株の買い時を考えると、
どうしても株価に目が向きます。
でも、
株価だけを見ても、
本当に安いのかは分かりません。
大切なのは、
企業の質と購入価格をセットで考えること
です。
長期保有したい会社なのか。
現在の配当利回りはどうか。
過去の利回りと比べてどうか。
PERやPBRはどの水準か。
なぜ株価が上がった、あるいは下がったのか。
そして、
今の価格なら長く保有したいと思えるか。
こうしたことを一つずつ考えていく。
高配当株投資では、
「安い株」を探すのではなく、
「長く持ちたい会社を、納得できる価格で買う」
ことが大切です。
そして、
底値を完璧に当てようとしない。
必要であれば、
購入時期を分ける。
候補企業をあらかじめ調べておく。
そんな準備をしておけば、
相場が大きく動いたときにも、
少し落ち着いて判断できるようになります。
買い時とは、
誰かが教えてくれる一つの株価ではありません。
企業の価値と、自分が求める投資条件が重なったところ。
そこが、
自分にとっての「買い時」なのではないでしょうか。

