はじめに
「制度があるから大丈夫」という安心は、実はFIREを目指すうえで 最大の錯覚 になり得ます。
特に日本は少子高齢化・財政赤字という構造的な課題を抱えており、今後の年金・医療・介護制度には大きな見直しの可能性があります。
今回は、FIREを視野に入れたうえで、社会保障リスクにどう備えるかを整理していきます。
1. 年金制度のリスク
不確実性の根拠
- 公的年金制度の持続性・給付の十分性ともに課題あり。たとえば「持続性」が47地域中30位という評価も。
- 若い世代ほど「将来受け取れるか分からない」との不安が強く、制度そのものを頼れないという意識が広がっています。
- 支給開始年齢の引き上げ、拠出期間の延長、給付水準の縮小など改革案が議論されています。
FIRE目線での注意点
- 「年金があるから安心」という前提で資産設計を組むのは危険。
- 受給開始年齢が延びたり、給付額が少なくなる可能性も想定しておく。
- 年金を「補助的収入」と見て、主たる収入源・資産設計を自分で作ることが重要。
2. 医療・介護制度のリスク
構造的な課題
- 日本では2025年・2030年にかけて医療・介護需要が急増する予測あり。
- 医療・介護人材や施設数の不足、財政負担の増加が制度の持続性を揺るがしています。
- 制度改正で「自己負担が増える」「適用範囲が縮む」という可能性も指摘。
FIRE目線での注意点
- 健康リスクが高まるFIRE後期に、大きな医療・介護支出が発生すると取り崩しが加速。
- 医療・介護は「待ったなし」のリスク。定期的なチェック・予防・保険の見直しが必要。
- 「制度が守ってくれる」と考えず、自分自身の備えとして考えること。
3. 備えの戦略
(A) 資産設計の前提を修正する
- 年金を「あるかもしれない収入」としてではなく、「あるならラッキー」という位置付けに。
- 医療・介護費用をシミュレーションし、「取り崩し可能な資金」「予備資金」を用意。
- 資産配分にも「社会保障制度リスク」を反映させる(現金余力、流動性確保など)。
(B) 働ける状態を維持する
- 年齢を重ねても働けるスキル・ネットワーク・体力を備える。
- サイドFIREや複業という選択肢を残すことで、制度変化による収入減リスクを回避。
(C) リスク分散を図る
- 地方移住・低コスト地域への住まい変更も選択肢。生活費が下がれば制度変化の影響が小さくなる。
- 海外資産・外貨もポートフォリオに加えることで、日本国内の社会保障リスク依存を低減。
まとめ
社会保障制度の変化は、「いつ」「どれくらい」で来るかは誰にもわかりません。むしろ、
「将来は不確実である」
ということだけはほぼ確実です。
FIREを目指すなら、制度の変化を受け身で待つのではなく、
- 年金・医療・介護を“補助”と位置づけ、
- 自分で資産・収入・生活基盤を作ることが不可欠。
あなたのFIRE計画が“制度依存”にならず、“自立力”を持つものになることを願っています。

