はじめに
世界では、戦争・貿易摩擦・エネルギー争奪などが頻発し、経済・資産・生活コストに大きな影響を与えています。特に、グローバルな供給網(サプライチェーン)が地政学リスクにさらされており、私たちの資産設計や生活設計にも「想定外」の影響が出る可能性があります。
今回は、FIREを目指す立場として「地政学・経済リスク」がどう資産や生活に影響するか、そしてどう備えるべきかを整理します。
1. 地政学・経済リスクとは何か
- 戦争・紛争、貿易摩擦、経済制裁などが原因で、資源・原材料・エネルギーの供給が一気に止まったり高騰したりすることがあります。
- グローバルなサプライチェーンが脆弱になりつつあり、運送ルート遮断・部品調達難・価格上昇に直結しています。
- たとえば、原油・天然ガス・希少金属など、戦略資源の供給が不安定になると、物価上昇→生活コスト増→資産目減りといった連鎖も起きやすいです。
2. FIRE目線での影響
(A) 資産運用への影響
- 株式市場・債券市場ともに「想定外のリスク」で大きく揺れることがあります。
- 供給制約やコモディティ高がインフレを押し上げ、実質資産価値を目減りさせる可能性。
- 投資先・地域・通貨が地政学リスクにどう晒されているかを見ておく必要があります。
(B) 生活コスト・生活設計への影響
- 生活必需品・エネルギー・輸入品の価格が上がると、FIRE後の“固定支出”が想定以上に膨らむ恐れ。
- 海外移住・海外資産を持っている場合は「供給網・物流・為替」の3重リスクに直面するシーンも。
- 地域・産業・資源依存度が高いと、安心と思っていた暮らしが一気に変化することがあります。
3. 具体的な事例
- 世界のサプライチェーンの約80%程度が海上輸送に依存しており、紛争などによる航路遮断で物流や部品調達に甚大な影響が出ています。
- 国際的なサプライチェーン構造の地政学的見直し(「フレンドショアリング」など)によって、構造転換のコストと不確実性が増しています。
これらを見ても、「戦争・貿易摩擦」という遠い世界の話が、私たちの資産・生活にも確実にリンクしていることがわかります。
4. 地政学・経済リスクへの備え方
(A) ポートフォリオの見直し
- 地域・資源・産業を分散:特定国・特定サプライチェーンに偏らない。
- コモディティ(資源)や代替エネルギー関連の割合を少し持っておくことも検討。
- 海外資産を持つ場合は、物流・為替・供給網のリスクを考慮。
(B) 生活費・資産設計の安全性確保
- 生活必需品・エネルギーコストの上昇を想定し、余裕をもった資金設計 を。
- 住まいや拠点を選ぶ場合、資源・物流・インフラの安定性も考慮。
- 有事の際に“すぐに動ける拠点”や“切り替え可能な仕組み”を持つ。
(C) リスク発生時でも耐えられる設計
- 「資産を守る」→現金・流動性・安全資産の確保。
- 「収入を維持・代替」→働き続ける選択肢を残す(サイドFIRE・複業)。
- 「生活コストを下げられる工夫」→支出の最適化、ミニマルな生活拠点。
5. まとめ
地政学・経済リスクは「いつ」「どこで」「どれだけ」という予測は困難ですが、起こればFIRE設計に大きな影響を与える可能性があるという点は明らかです。
FIREを目指すなら、資産を増やすだけでなく、変化・混乱・想定外に耐えられる仕組み を整えておくことが重要です。
「資産だけで安心せず、リスク耐性を設計に入れよう。」
次回は 「テクノロジー・AI時代のリスク ― 職・情報・セキュリティの変化とFIRE」 をテーマに進めます。
